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【ごせん短歌部】『扉』をテーマに短歌を募集しました

 こんばんは。ぐるナイがいつの間にかゴチの番組に成り代わってしまったように、無印ライター桐生がいつの間にか短歌部部長の桐生に代わってしまったらすみません。

 編集長!無印ライター人格と短歌部部長人格で分けて投稿も全然可能ですから!私書くことに対してはストイックなので!

 この記事を書いている10月12日の夜現在で、既に8首もの短歌が集まったので、早くも皆さんの作品を紹介していきたいと思います。

 

投稿された短歌

 今回はごせん短歌部の第一歩目という事で、Googleフォームを使って、短歌を募集しました。テーマは扉です。人と人の間、建物を隔てるもの、そんなものにはきっと物語が沢山あるに違いない。そう思って扉をテーマにさせていただきました。

 ひとまずは、私の講評で色眼鏡を付けずに、皆さんの短歌を詠んでいただければと思います。

・扉には「STAFF ONLY」ぼくはまだ開けられずにいるバイトの初日

・左利きロボットいると仮定して ドアノブ捻るのどっちの手だろう?

・開けゴマ キミの心の 奥の奥 そっとでいいよ 開いてほしい

・ネジゆるみ 直してほしいと 開ける度 扉はいつも 休みなし

・何回も 開けっぱなしで 注意する いつなおるのか 猫こども

・二度ノック「失礼します」の一言でわたしは戦地へ降りてゆきます

・真鍮の把手の先は喫茶店 ガラス窓から秋の陽光

・電車にのって本を開く なにも耳に入らなくなるライクア宇宙

 個性派揃いですよね。部長感激しています。

部長の講評

 予防線を張るわけではないのですが、部長もまだまだ短歌に関してはずぶの素人。人の詠んだ歌を手直しするようなプレ◯トみたいな事は致しません。

 基本的なスタンスとしては、あくまで私の感じ取った世界観をご紹介させていただくという事、そしてこれは誰に言われても曲げる気はありませんが褒めのスタンスでいきます。貶しは無しで。ただ歌会には特選と並選という評価の仕方があって、部長の独断と偏見で特選(1番心に留まった作品)と並選(次いで良かった作品)だけは選出させていただきます。

・扉には「STAFF ONLY」ぼくはまだ開けられずにいるバイトの初日

 これは大学生とか、大学時代の思い出を詠んだ歌でしょうか?バイトの初日というだけでもドキドキするというのに、STAFF ONLYの札がかけられていたら余計に緊張しますよね。「え?自分ってスタッフ?でもまだ働いたことないしな・・・」と、初々しい緊張感が伝わってくる良い歌だと思います。

・左利きロボットいると仮定して ドアノブ捻るのどっちの手だろう?

 これは発想の勝利感が強いですよね!ロボットにそもそも利き手ってあるの?あったとしたら右利きが多そうな気もするし、そもそも両利きが一番腑に落ちます。そんな中で左利きのロボットがいると仮定として置くのが面白い。そしてその着地点がドアノブを捻るのがどっちの手なのか?という何とも些事に落ち着いているところも可愛くて好きです。

・開けゴマ キミの心の 奥の奥 そっとでいいよ 開いてほしい

 アリババと40人の盗賊という作品の有名フレーズからの引用ですね。合言葉の呪文を使ってまでこじ開けたいキミの心の奥。キミが一体どんな人物なのか?恋する相手なのか、仲の良い友人か、或いはこれから仲良くなりたいのか。これは人によって解釈が分かれそうな歌ですね!開けゴマと唱えているのに、最後は開いてほしいと妙に奥ゆかしくなるのも可愛らしくて好きです。

・ネジゆるみ 直してほしいと 開ける度 扉はいつも 休みなし

 最後の韻律が5音で止まっているのが特徴的な歌です。扉って毎日開けるものなので、経年劣化も凄いですよね。我が家の引き戸も最近大きな音を立てるようになってきたのでまたパーツを替えなくちゃな・・・と読みながら物凄くリアルな実感が込み上げてきました。扉くんにも定休日を設けてあげるべきなのかもしれないですね(笑)でもそうすると私たち人間は閉じ込められてしまう。難題です。

・何回も 開けっぱなしで 注意する いつなおるのか 猫こども

 これまた5音で止めた歌。内容を察するに、子育て世代の方の歌かなー?猫こどもと5音に収めつつ、猫とこどもをくっつけて造語にしているところが面白いですよね。そして光景が容易に目に浮かぶところがまた良いです。躾をしたいという親御さんの目線と、わんぱくだけど健やかにノビノビと育っているであろうお子さんとの対比というか対峙というか・・・。実に良い歌ですよね。扉をテーマに家族愛を詠めるって、センスありますよね。

・二度ノック「失礼します」の一言でわたしは戦地へ降りてゆきます

 これは・・・就職活動という名の戦地に赴く戦士の悲哀の歌ですよね。本来就職活動ってもっと朗らかにいくべきところだと思うんですよね。同じ釜の飯を食う戦友となり得る人材を採用するには、やっぱり殺伐とした空気はいらないと思うのです。だけど現実は企業側の費用対効果によって最適化され、型枠にハマった就職活動が横行している。そういった現代風刺も感じ取れて、私は好きですねえこれ。降りてゆきますというのも妙にフレーズとして良いのですよね。いくじゃなくゆくなのも、いかにも戦時中を想起させられるところもあるというか。

・真鍮の把手の先は喫茶店 ガラス窓から秋の陽光

 あの取っ手って真鍮製だったんだ、知らなかった。と、まるで喫茶店の方を知っているかのような言い草ではじまった講評。でもきっとこれはあのお店のことでしょう?(笑) ちなみに私が詠んだものではないですからね。秋の陽光ってまだ陽射しとしては強いんですけど、風は冷たくなってきてるし暗くなるのも早いし雨が降ることもしばしば。まして冬が間近に迫っていることを思うと、貴重な陽の光なのだよなあと思いますよね。強い陽射しのはずなのに、不思議と寂しさも感じさせてくれるような秋を詠んでくださった歌でしたね。

・電車にのって本を開く なにも耳に入らなくなるライクア宇宙

 滅茶苦茶上級者来たな・・・って感じです。歌人の短歌を読んでいると、韻律全然関係ないじゃんっていうやつ結構あるんです現代短歌って。正にそれがきた感じ。これ系は部長も正直良く分かっていません。ただ1文としての評価は出来るはずなので、解釈していきましょう。

 まず、電車にのって本を開く、これが恐らく上の句ですよね。短歌の良くある手法として、上の句で場面写をして、それから下の句で世界観を広げるような事をするんです。そういう意味ではこの句は真っ当に短歌なわけだ。下の句で、なにも耳に入らなくなるライクア宇宙 と閉じています。本の世界にトリップしているさまをライクア宇宙と言っているのかな。自意識が限りなく無くなっていく感覚、本の世界に没頭して宇宙まで行ってしまう。トビラというワードを一切使わずに、それでいて何かを潜っている感じが伝わってくる歌で良きですね~。

部長の独断と偏見による特選・並選

特選 二度ノック「失礼します」の一言でわたしは戦地へ降りてゆきます

並選 電車にのって本を開く なにも耳に入らなくなるライクア宇宙

 講評でも記載した通りではありますが、就活という一場面を切り取って色々な解釈が感じられたものを特選、短歌としての句切れは分からないけど、扉というテーマでトビラを一切出さずに表現しきったものを並選とさせていただきました。

 今回応募くださった8名の歌人の皆様、誠にありがとうございました!次回もまた折を見て募集をかけようと思います。

 最後に部長としても一応一首置いておきます。そしてネタバラシをすると、8首のうち1首だけ部長の短歌も含まれています。どれなのか当ててみてね。

わたし発きみ到着の列車には 一体だれが乗ってるだろう

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