VIS-A-VIS|新田 一晴さん
駅前に、ちょっと不思議な扉
五泉駅前の通りを歩いていると、ふと目に留まる小さな建物。
「今日は開いてるかな?」と覗き込んで、灯りがついていたらラッキー。
そこが、レトロ雑貨店『VIS‑A‑VIS(ヴィザヴィ)』です。
店内に一歩入ると、懐かしさと心地よさが混ざり合った空間が広がります。
元スナックの面影を残す店内には、店主が“好きで集めた”モノたちが、所狭しと並んでいます。
中には「これは売りたくないんだけどね」と笑いながら話すアイテムもちらほら。
そんな気まぐれな距離感が、なんだか心地いいのです。
東京から五泉へ。店主・新田さんのこと
『VIS‑A‑VIS』を営む新田一晴さんは、五泉市出身。
大学進学を機に上京し、キャラクターグッズや着ぐるみ制作の仕事に携わってきました。
地元に戻るつもりはなかったという新田さん。
けれど、関東出身のパートナーが五泉のまちを気に入り、地域おこし協力隊として移住を決めたことが転機に。
2023年、約40年ぶりに五泉へ戻ってきました。
東京では、古い雑貨や家具を扱う小さなお店を、ほんの少しの間だけ開いていたことも。
モノが持つ時間の重なりや、手放される背景にあるストーリーに惹かれていったのは、
その頃からだったのかもしれません。
「ただのモノじゃなくて、誰かの時間が染み込んでる感じがするんです」
そんな言葉からも、モノへのまなざしの深さが伝わってきます。
2024年春、五泉駅前に『VIS‑A‑VIS』をオープン。
東京時代に集めた雑貨や、これまで出会ってきたモノたちを何往復もして運び込み、
元スナックの建物を少しずつ整えて、静かに店を開きました。
宝探しのような、ちいさな冒険
決して広くはない店内。
けれど、その空間には、昭和の食器や海外のアンティーク、古着、オーディオ機器など、
レトロな雑貨が肩を寄せ合うように並んでいます。
棚のすき間をのぞき込んだり、そっと引き出しを開けてみたり。
まるで宝探しをしているような気分になるのは、
一つひとつのモノに、店主のまなざしと物語が宿っているからかもしれません。
価格は、コレクターから見れば「安すぎる」と言われることもあるそう。
でもそれは、「いろんな人に手に取ってほしい」という店主の想いの表れ。
売りたくないモノもあるけれど、誰かの暮らしにそっと馴染んでくれたら…という願いが、
この店の“気まぐれなやさしさ”をつくっています。
入りにくいと思われることもあるけれど、
「何も買わなくてもいいんです。話しに来てくれるだけでうれしい」
そんな店主の言葉に、ふっと肩の力が抜けます。
スナック時代のソファがひとつだけ残されたスペースでは、
お茶を飲みながら、ゆっくりおしゃべりを楽しむことも。
五泉のまちには、商店街の一角にふらっと立ち寄ってお茶を飲む文化が、今も息づいています。
『VIS‑A‑VIS』もまた、そんな風に人が集う場所になりつつあるのかもしれません。
開いてたらラッキー。それが、VIS‑A‑VISのリズム
『VIS‑A‑VIS』には、営業日も営業時間も書かれていません。
唯一の手がかりはInstagramのプロフィール欄。
かつては「12:00オープン」と記されていましたが、
その時間、店主はまだ家でお昼ごはんの真っ最中。
後に「13:00オープン」にそっと書き換えられましたが、
それでも開いていないこともあります。
しかも、Instagramの投稿はたいてい閉店間際。
「今日やってるのか知りたい!」という声が届く頃には、
「本日もありがとうございました」の投稿が上がっていたりします。
そんな“幻の店”のような存在感に、思わず笑ってしまう人も。
近くの『LOOP&LOOP』の店員さんが紹介してくれることも多いのですが、
「行ってみたら閉まってた!」と困った顔で戻ってくるお客さんもいたそうです。
それ以来、「今日は開いてますか?」と事前に連絡をくれる人が増えました。
そんなやりとりも、このお店らしい日常のひとコマ。
のらりくらりとかわしてくる店主なのに、なぜか憎めない。
むしろ、その“気まぐれさ”こそが、この場所の魅力なのかもしれません。
時間に追われる日常の中で、ちょっと立ち止まって、
“開いてたらラッキー”な出会いを楽しむ。
そんな気持ちで訪れてみてほしい場所です。






